5/5/2007 up   ホーム  インデックス

pin 国語力




何か最近のテレビのバラエティー番組は、漢字の読み方やことわざの意味を当てたりするクイズ形式のコーナーが目に付く。
そういえば今から3年前、大学受験生が1人いた時の話。センター試験・国語の過去問題集がテーブルに放り出してあったので、暇つぶしに解いてみたことがあった。仮にも文章を書くのが商売だ。ささっと解けるはずが、全然分からない。
そのとき「そういや、昔から入試問題は悪問の宝庫だったなあ」とデジャブ感覚に陥った。そう、つまり落とすための「引っ掛け」だらけ。それが相も変わらず続いていたんだなあ —— とため息をついた。
そう割り切って、もう一度問題に挑戦した。すると「ははん」である。細部にこだわっている答え、お上が作成している問題なので常識に反する解答などを除いていくと、正解を絞り込める。しかし小説の読解問題は「これが答えなんだろうけど、やだよこんな解釈(註1.」という「正解」も多い。

国語の乱れが指摘されて久しい。この間もラジオのアナウンサーが、リスナーから寄せられたファクスにあった文章をこう読んでいた。「…ピテピテと跳ねる、生きのいい魚…(中略)、家族全員で舌打ちをして、おいしく頂きました」(笑)
いやあ…。「ピテピテ」は「ピチピチ」の「チ」が「テ」に見えたんだろうねえ。新人アナとはいえ、まずいぞ。しかもファクスを送った主婦も「舌鼓を打った(註2.」と「舌打ち」を間違うとは…。それをまたアナウンサーが、そのまんま読んでしまうとは。
議員の中にも「すべからく」をどうやら「すべて」と勘違いして、雄弁家気取りで話す御仁もいる。「すべからく」は漢字で書けば「須く」。そう「必須」の「須」で、「必ずや」という意味である。まあ自分にも「お座なり」と「なおざり」を混同していたなど、間違えは多々ある。人のことは言えないが、政治家、記者はもちろん言葉はもっと大事にしたい。

先日、43年ぶりに全国の小学6年、中学3年約230万人を対象にした全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が約3万3000校の小中学校で一斉に行われた。国語力の低下が指摘されたからだが、まあ国語力はすべての学問の基礎だ。もう少しがっちり勉強させた方がいいと思う。
だからこそ、落とすための試験という、ひねこびた大学入試問題を改めていくべきだろう。最高学府へいくための入試問題が「変」では、健全な日本語にとって「大変」だ。

さて、このエッセーで筆者は何を言いたいのか。次から選べ(註3.
(1)記者なので、国語の問題が解けるのは当然といやらしく自慢している
(2)受験勉強そっちのけで、女の子目当てに通っていた喫茶店を、さわやかな性欲とともに懐かしんでいる
(3)「問題集がテーブルに置かれている」という受け身表現を「置かららっている」と、文法無視の活用を得意とする女房に大いなる怒りを感じ「レレレのレー」と叫びたい 気持ちを抑えている
(4)勉強不足の議員はとっととやめろという本音を意地悪く潜ませて、ほくそ笑んでいる —— 。


正解はどれだ?


(佐藤 紀生)



註1.:やだよこんな解釈
・小説なんて読んで面白く感じればいいので、解釈することによって面白さが増えるならそんでいいけど、顕微鏡を覗きこむような解釈は普通の読者にはいらないと思う。

註2.:「舌鼓を打った」
・したつづみを打つとは、美味しくて舌を鳴らしてしまうということらしいが、そんなことするか普通? なにか原典があるのだろうけどねー。つうか、わたしいまのいままでしたづつみをうつと思ってましたから。まあ、そう読んでも間違いではないらしいが、しかし難しいねー、日本語。

註3.:次から選べ
・(5) こんな偉そうなこと書いたのに、万が一間違いを指摘されたらどうしようと、不安の念に苛まれている。というか、オヤジとは、いつだって国語力の低下を嘆くものなのかも。(以上:あずみ)

ya1 馬鹿ミニ ya2

You’re So Vain / by Carly Simon