pin見てこうもん
(佐藤家の日常から32)
yoko
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ある日のこと

家に帰ると、口々にゆーたを絶賛する声が茶の間から聞こえてきた。
「すごいよね」「うん。初めて見たけど感動的」「よく見るときれいなもんだね」
と、ゆーたをほめている。何だ?ゆーたがテストで滅多にない百点満点でも取ったのだろうか‥‥。どうも違うみたいだと、しばし首をかしげていた。事実はまたもや「小説より奇なり」であった。
一体何が家族全員の絶賛を浴びていたのかというと‥‥。それは何と!ゆーたの肛門であった。コウモン?何じゃそれは。
ガイが説明してくれた。常々ガイはゆーたのお尻の形がいいことを口外していた。小学6年にもなるのに、まだうっすらと蒙古斑(もうこはん)が残る『ケツの青いヤツ』だが、まさか肛門まで絶賛するとは。風呂上がりにゆーたが「クレヨンしんちゃん」よろしく、ケツ出しで騒いでいた。そこでガイがちょっかいを出したのだが、ゆーたは放屁。その瞬間の肛門の動きにガイは驚いたという。
そこでガイはゆーたの肛門をじっと見つめた。するとゆーたは自由自在に肛門の穴を伸縮させて、肛門をキュッと締めたり、にゅわーんと開いたりして、相手の要望に答えたいう。ガイはその花びらのように開いては閉じる、きれいな粘膜に感動し、すぐにあき、ばーちゃんを呼び寄せ、みんなでとくと鑑賞したというのだ。ストリップ劇場の花びら満開ではあるまいし、肛門満開ショーを家族、しかも姉にも披露したゆーたって‥‥。しばし言葉をなくした#(1)
ガイは「お父さんも、絶対見る価値あるよ」と盛んに愚息の肛門を鑑賞しろと勧める。冗談じゃない。そんな変態家族の一員になんかなりたくない‥‥。

でも本当は、もう一つ理由がある。実は私も高校時代、じっくりと自分の肛門を観察した過去があるのだ。その時の状況はゆーたと同じ。キュッときつく閉めたり、にょわーんと開いたりしてみて、その食虫植物みたいなシロモンに「すごいなあ」と自分で感動した経験があるのだ。ゆーたと違い、家族に見せたりはしなかったが、やはり遺伝なのだろうか。車の運転もデスクワークも多い仕事で、同僚、先輩には痔持ちも多いが、私は全く大丈夫。しなやかな肛門はゆーたに受け継がれたようだ。目出度し、愛でたし‥‥#(2)
ところで今、ガイとの間ではいつゆーたにチン毛が生えて来るかを賭けている。私は自分の経験から中学入学以降とふんでいるが、ガイは同級生の情報から年内が濃厚と見ている。ガイはゆーたに「チン毛生えたら、大人の証拠だから市役所に届けるんだよ」#(3)とうそを付いている。あまり物事を疑わないゆーたは、いまだにそれを信じているみたいで、この間「○○君は、市役所に届けたのかなあ。ゆーたも早く生えればいいなあ」とため息を付いていた。すると肛門からも、ため息がプッ!(ってこれはうそ)。

( のりお )

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あずみによる脚註
いやはや、なんにも云うことありません。。
1.) しばし言葉をなくした:
わたしもこの原稿をもらって絶句して以来3ヶ月、アップするかどうか悩み、何度も確認したけど、のりおくんは軽いノリで「あげていいよーん」とかいうので上げますが。しかし、本当にいいんだろうか。
2.) 目出度し、愛でたし‥‥:
って、キミキミ、そんな下らないダジャレで締めちゃっていいのか。
3.) 市役所に届けるんだよ:
では、生えてきたら市役所はともかく、ここで必ず報告してね。




ま、汚いよりは綺麗な方がいいんだろうけどなあ‥‥。