12/5/2021 up   ホーム  インデックス

pin 田舎再考




民俗研究家・結城登美雄さん(註1.の話を久々に聴く機会を得た。
明治時代まで、集落の基本単位だった村。今の住所で言えば大字を、人々が共助しながら暮らす「地域」と捉えることを、結城さんは改めて提案した。
数十世帯が住む村内で捕獲、採取、栽培した物を主とした生活を大多数の日本人は営々と続けてきた。しかし戦後、過度な経済至上主義が、何でもある都会に対して、田舎を「何もない所」におとしめてきた。
結城さんは、石巻市北上町十三浜を例に反証。四季折々で入手できる魚介類、自家栽培する穀類と野菜、山の恵みの山菜やキノコ類、果実など実に300種類。魚介類は漁法、漁期など厳格なルールを定め、浜々で資源管理。まさに「地域」の結束で豊かな生活を維持してきた歴史を示した。
村社会は、暗く閉鎖的なイメージがつきまとうが、潮目は変わりつつある。そうコロナ禍だ。経済優先、人口集中が生み出した過「密」社会でウイルスは広がり、それは観光・行楽客を交流人口と捉え、獲得に努力してきた私たちにも跳ね返る。実にたちが悪い。
現代では自給不可な物の方が多いが、田舎には見過ごしている自助と共助がたくさんある。それは我が古里・気仙沼も同様だ。足元にある宝こそを掘りたい。


(佐藤 紀生)



・地元学プロヂューサー。旧満州生まれで山形の寒村で育つ。山形大出身。民俗研究家として東北の農村各地に深く関わり、東北各地を東奔西走、地元学という概念を提唱している。(以上:あずみ)


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