2/15/1999 Renew   ホーム  インデックス

pin 哀愁のタイタニック号の凱旋
<10/16/98 up>




外国映画の題の意訳が最近少なくなったと雑誌が報じていた。昔ならあの大ヒット作も「哀愁のタイタニック号」(あんまりか?)となっていたかもしれない。洋楽の世界もそうだ。昔はレコード会社も意訳に力を注いでいた。夢、悲しき、哀愁ーとくればポップス。流血、神、伝説ーはハードロックと、ジャンルまで予測できた。しかし今はほとんどない。ちゃんと売れるから必要ないのだろう。
かつては長い題や、意味不明のものはきちんと意訳していた。例えばジョン・レノンのベスト盤「シェイブド・フィッシュ」。直訳すれば「かつお節」で、ジョンのしゃれっけだけど、これじゃ売れんわなあ。で「ジョンの軌跡」と意訳。もう一つハードロックの雄、ヴァン・ヘイレン。グループ名はギタリストの名字で、デビュー作もそのまんま。2作目も素っ気なく「II」。これは「炎の導火線」「伝説の爆撃機」と革新的ギターサウンドをどうにか表現しようと苦労の跡が見える。
しかしやりすぎもある。ギターの達人ジェフ・ベックの名作「ブロー・バイ・ブロー」(71年作)。原題はボクシングの壮絶な殴り合いから取っているが、日本題は「ギター殺人者の凱旋」。「何でそうなるの」という超意訳だ。人事異動で畑違いの洋楽部門の宣伝部長となったA氏(48)「演歌大好き」(たぶん)が小林旭の「ギターを抱いた渡り鳥」から連想したんだろうな。おいおい。でも横文字をきちんと翻訳する努力はもっと必要なのかもしれない。言葉の切れ味を維持するためにもね。

(佐藤 紀生)
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固い枕の兵隊暮らし (Soldier Boy) / by Elvis Presley