(笑)。新聞ではめったにお目にかからないが、雑誌などのインタビューなどではやたらと多用される、一種の常とう句(というより記号)だ。「ばかにするな」と「ばかにするな」(笑)では確かに伝わるニュアンスは丸っきり違う。もっともその前後の、いわゆる文章の流れなどで(笑)の雰囲気を出すことはできるので、まあお手軽な手法とも言えるけど(笑)。
しかし(笑)の使用は難しいと感じることがある。「笑い」ほど多くの意味を持つ表情はないからだ。
1. 破顔一笑 2. ほほ笑み 3. 冷笑 4. 照れ隠し 5. 戸惑い 6. 恥じらい 7. あきらめ 8. 苦笑 —— など枚挙に暇がない。しかも往々にして 9. 憎悪や 10. 拒絶でもあったりする。
午前様の玄関で女房から浴びせられる「いいかげんにしなさいよ」(笑)が果たして3なのか7なのか、はたまた9まで事態はいっちゃっているのか。間違っても2や6ではないことは分かるが、考えるとまた酒を飲まずにはいられない(笑)。
座興として、×日付けの河北新報の見出しに(笑)を付けてみた。
意味深長になるのも多いなあ(笑)。
虚実が入り乱れている世の中。常に(?)を頭に置いて見回す必要がある。ついでに(笑)を加えるユーモアもあると余裕が生じるのでは。どうかこの話もご笑納くだされ。
(佐藤 紀生)
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