8/9/2001 up   ホーム  インデックス

pin パフォーマンス清掃船




観光地はごみとの戦争である。ボランティアを含めて、景勝地の清掃に四苦八苦している。観光200万人都市という超アバウトの目標を掲げる我が古里・気仙沼市も同様だ。ちょいと見にはきれいでも、岩場の陰には口紅の付いたたばこの吸い殻が束になって投げ捨てられ、松林の中には空き缶がゴロゴロし、砂浜には白骨化した死体が人知れず埋められている(かもしれない)。
そんな中、日本一のマグロ船の基地(註1.)である気仙沼湾の清掃を引き受けているのが、海面清掃船「清港丸」(3.2トン)。1988年に配備されて以来、気仙沼清港会が週に6回、内湾から沿岸域をくまなく巡回し、ごみを集めている。流れ藻や、ポイ捨てごみが主流だという。いくら景観をよくしても、海にカップめんの容器やスナック菓子の袋、使用済みコンドームがプカプカ浮いていたりしては、九州の長崎港に匹敵すると言われる港の雰囲気は台無しで、観光対策としても実に重要な仕事だと、常に敬意を払っている。
ごみとのいたちごっこは今後も続くだろう。そこで思い浮かんだのがディズニーランドの清掃光景。蝶ネクタイをしたお兄さんや、お尻のむっちりしたお姉さんが、片っ端からほうきとちりとりでごみを集めていく。マニュアルでは、決してかがんではいけないそうだ。かっこよく、おしゃれにササッと掃除する。「夢の国」の一員として、清掃も見せ物にしているのだ。(註2.)
そこで提案。この発想を取り入れて、「清港丸」をおしゃれな姿、色に変えようではないか。全然、縁もゆかりもないし必然性も見いだせない。論理的にも無理で、私の人格も破たんしているが、ビートルズのアニメ映画「イエローサブマリン」(註3.)の格好をまねたら面白いと思う(清掃船は、もちろん潜水艦ではないけどね)。
そして清掃する人たちには、海のお掃除マンとして格好いい制服を着てもらおうではないか。マリンブルーのオーバーオールジーンズに、大リーグのシンジョーも真っ青なオレンジのゴム手袋にブーツ。TDLの蝶ネクタイはパクろうではないか。夏場は、サマーバージョンとして赤塚不二夫センセイの名作「天才バカボン」が生んだ希有なキャラクター「レレレのおじさん」(註4.)スタイルで統一してみるのも面白いかもしれない。
つまり裏方の清掃を、あえてショーにしてしまうのだ。神出鬼没でせっせと掃除する必殺清掃船。環境運動のシンボルとして教科書にも取り上げられている「森は海の恋人」(註5.)の聖地として、環境保全に取り組む姿勢を目に分かる形で見せたらどうだろうか —— と提案したい。潜水艦でもないのにイエローサブマリンの色や形、お掃除マンの格好などなど、いずれもパフォーマンスと批判されていいと思う。問題はごみゼロを願うというポリシーなのだから。この公約で、いつか気仙沼市長選にでも出てみっかな(うそ)。

(佐藤 紀生)



註1.:日本一のマグロ船の基地
・マグロの水揚げ日本一ではない。気仙沼港には日本一がいろいろあるけど、近海延縄漁のバチマグロに混ざって捕れる“サメ”はダントツの一位。ともかく、マグロ船はしょっちゅう出入りしている。

註2.:清掃も見せ物にしているのだ
・踊ったり、ローラースケート履いて掃除する人もいるんだって?そんで彼らは“カストディーアル”って、云うらしいな。いったいどういう意味なんだろう?cast-deal?

註3.:アニメ映画「イエローサブマリン」
・1968:英国/製作:アル・ブロダックス/監督:ジョージ・ダニング/音楽:ジョン、ポール、ジョージ/出演:ジョン・クライブ、ジェフリー・ヒューズ、ピーター・バトン、ポール・アンジェラス、ビートルズの4人
宿敵ブルーミニーズから、楽園ペパーランドを守るべく立ち上がったフレッド艦長、そして救いの手をさしのべるビートルズの4人が、イエローサブマリンに乗って旅をする。サイケデリックなアニメと奇抜なストーリー、全編に流れるビートルズ(とジョージ・マーティン)の音楽が楽しい。

註4.:「レレレのおじさん」
・知らない人はいないと思うけど、こんな感じ▼。ちなみに、友人のなかにも、レレレの××と呼ばれるおぢさんがいます。

註5.:「森は海の恋人」
・宮城県唐桑町の牡蠣養殖業畠山重篤さんがはじめた、森と川と海のつながりを通して人間と自然の関わりについて、もう一度見つめ直そうという運動のキャッチフレーズ。沿岸の漁師が山の人の協力を得て、広葉樹の植林をしたことからスタート、現在は大きな広がりを見せている。関連サイト▼
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