8/17/2003 up   ホーム  インデックス

pin 網戸の悩み




蚊帳(註1.という漢字を読める世代はどんどん少なくなっている。
夏の夜というと、ザラっとした蚊帳の感触と、蚊取り線香のにおいが最初に頭に浮かぶ。昼の思い出である少年野球、10円アイスなどとともに記憶の底に眠っている。もう一つ、西日の当たるぼろアパートの四畳半 —— というあまり楽しくない経験もある。台所のシンクを風呂代わりしたというのは笑える思い出だけど。
そんなことをぼんやり考えた熱帯夜。ふと網戸が目に入った。そうだよね。蚊帳を過去の遺物にしたのは、この網戸だ(註2.。エアコンなしには暮らせない都会での存在価値はいくらか下がっているだろうが、気仙沼辺りでは必需品だ。ヤブ蚊やモスラのような巨大なガの侵入を防いでくれている。
でも網戸って、夏の夜の思い出には絶対にならないよなあ。なぜだろ?。答えは「無粋」。街の景色にとっての電柱と同じ。トレンディードラマに出てくる家は網戸なんかない(ように見せかけている)。おしゃれじゃないからなあ。
そこで網戸センスアップ作戦。まず色。網戸市場の主流はグレー。たまに人工的な青もあるが、ここは一つ、マリンブルーやエメラルドグリーンはどうだろうか。個人的には釣り糸のような透明な網にしてほしい。それと模様。浜辺の景色なんて涼しげでいい。網にかかった魚の図柄なんぞは気仙沼に合うかもしれない。蚊帳の風情を再現する形状にも挑戦してほしいぞ。
えっ?どうせすぐ汚れるし、おしゃれでもガが張り付いているから何をしても同じ?(註3.網戸の悩みは深い(うそ)。

(佐藤 紀生)



註1.:蚊帳
・かや。部屋の中央から四隅にかけ、テントのような携帯の細かい網を吊るすことにより、蚊の侵入を防ぎ安眠するための道具。昭和40年代に、アルミサッシの家、殺虫剤、などにより特に都市部では蚊が激減したためほとんど使われなくなった。蚊帳の実物は蚊帳の菊屋。歴史は蚊帳の博物館でどうぞ。

註2.:蚊帳を過去の遺物にしたのは、この網戸だ
・というか、網戸が入るアルミサッシを持つ家が増えたってことだよね。それと同時に下水道や道路の整備が進んでよけいな水たまりがなくなり、宅地化が進み住居の周りから自然が減り、殺虫剤が撒かれ、クーラーが必需品になってくる。そんな生活には蚊帳が入り込む余地ないよね。うちではクーラーはないけど、そんなに網戸の必要性は感じないもん。といいつつ、子どもたちがいるから今年は網戸を新調したけど。

註3.:ガが張り付いているから何をしても同じ?
・というか、それ以前に、網戸なんて色を変えたり模様をプリントしたって、到底オシャレにはなりっこないと思う。ジョークにはなるかもしれんが。それよりもっと透明度を高くして欲しい。(以上:あずみ)

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