11/24/2003 up   ホーム  インデックス

pin 昭和33年の3丁目




昭和30年代がブームだという(註1.。横浜のラーメン博物館をはじめ、東京お台場のデックスにある「台場一丁目商店街」など次々とテーマパーク的な施設ができ、人気を集めている。
今年の夏に、その台場一丁目商店街に行ってみたが、「あたり前田のクラッカー」(註2.とか駄菓子の復刻品がたくさんあり、本当に懐かしかった。前田のクラッカーは購入して食べたが、やはり上品な味(笑)。舌が覚えているのは、もっとしょっぱかったと思う。決定的に違うのは油の質かも。酸化したような匂いがない。あのすっぱい匂いが、あの当時の揚げ菓子の特徴だからね。でも今の時代、質の悪い油は使えないだろうしね。ま仮想現実の世界に文句を言っても始まらないか……。
私が生まれた33年は戦後復興から高度成長への移行期。東京タワーが完成し、インスタントラーメンが世に出た。物心つくころにはテレビが急速に普及していった。
駄菓子屋、空き地、脱脂粉乳、まきストーブ、桑の実、赤チンを塗ったひざ小僧、デパートの大食堂……。今や遠い思い出となってしまった。もちろん不幸や不平等なことはたくさんあったが、あの時代の活力は懐かしい。
そんな時代を描いた漫画「三丁目の夕日」(西岸良平)はわが家のマイブームでもある。「ゴルゴ13」だと3分で眠気に負ける女房も「…夕日」なら大丈夫なようだ。高校生の娘も、ほのぼのとした世界を楽しんでいる。
気仙沼市では今、昭和初期の面影を残す魚町や南町の街並み(註1.に注目が集まっている。高い建築技術を使った自由で不思議な建物が残っている。レトロ感もたまらない。ついこないだまでは真の価値が分からなかった。その意味では歴史的な埋蔵文化財だったのだ。
こうした昭和的なものは今後、人々の心をくすぐるだろう。観光資源として大きな価値となる。駄菓子屋、街の洋食店など食を絡めた「昭和な港町」的な味付けを施せば、港町恋人スクエアも奥行きが広がる。レトロと似て非なる旧態依然な化石的発想と、公害だけはだめだけどね(笑)

(佐藤 紀生)



註1.:昭和30年代がブームだという
・音楽の世界では、1960年代歌謡曲がブームだよね。クレイジーケンバンドあたりが火付け役になったのかな。たしかに良い曲は多かったかも。

註2.:「あたり前田のクラッカー」
・藤田まこと主演の「てなもんや三度笠」がスタートするときの決めゼリフ「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」。いわば生コマーシャルのハシリ。あれを見た子供たちは、誰だって買いたくなってしまう。喰ってみればそんなに旨いとは思わないんだけどね。

註3.:昭和初期の面影を残す魚町や南町の街並み
・それについては、風待ち研究会が熱心に研究中ですね。そのへんに普通にあったちょっとバッチイ建物に、そんなに価値があるなんて、多くの気仙沼人はビックリしたのでした。(以上:あずみ)

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Hasten Down the Wind / by Linda Ronstadt