5/4/2005 up   ホーム  インデックス

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「患者さま」。個人的には一度も経験はないが、そう呼ぶ病院が増えているそうだ。店の「お客さま」でもこそばゆい。「患者さま」は嫌だ。従来通り「患者さん」でいい。できれば「患者さん」より、「佐藤さん」と名前で呼ばれたいが。
なぜ患者さまの呼称が広まっているのか。尊大な医者、卑屈な患者 —— という構図を転換しようとする改革路線から出てきたと推論する(註1.
発想を逆転させよう。患者が医師を「先生」と呼ぶのがいけないんじゃないのか —— と。先生は学校だけでいい。医師や弁護士、ましてや政治家の先生はやめよう。お医者さまがあるから患者さまがあるのだ。
佐藤医師または横文字は嫌だけど、ドクター・コトーでもサトーとでもすればいい。そうすれば患者さまなんて呼称は必要なくなる。「おい佐藤医師」「ほいきた佐藤さん」とお互いに平等で行こうではないか。お医者さまがそれを受け入れるかは分からない(註2.けどね。
長者さまや、お代官さまは過去の遺物。神様・仏様・ヨン様で十分かも(註3.。個人的には「お父さま」「ご主人さま」なんて、さまにならないし、「女王様とお呼び!」にも縁がない。かつて役所であった「殿・様」論争(註4.と、今回の「患者さま」とは性質が違う。言葉は生きものだし、さまざまな顔を持つが、それは使う側の意識次第でもある。

(佐藤 紀生)



註1.:改革路線から出てきたと推論する
・改革したい人もいるのだろうが、それよりも無難路線が多いと思う。様と持ち上げておけば、とりあえず安泰というか苦情はないだろうというか、相手との距離感を曖昧にしておこうというか。いかにも銀行が先行しそうな考え方だよね。

註2.:お医者さまがそれを受け入れるかは分からない
・真っ当な医者なら、研修医時代には違和感を感じて当然かも。でも、先生と呼ばれ続けるとマヒするんだろうね。医者を判断する材料として、インフォームドコンセントがしっかりできているかとか、セカンドオピニオンを当然と認めるかとか、その次くらいに先生と呼ばれたがるかなんてのがあるといいかも。

註3.:神様・仏様・ヨン様で十分かも
・皇族に対する様も異常だよね。赤ちゃんに様づけはないだろう。人間をスポイルする手段として、様を付けて隔離するというのがありそう。雅子さんも大変だよなあ。

註4.:「殿・様」論争
・もしかして、役所が市民に殿づけはけしからん様を使えといったような論争だったか。ネットでちょっと調べたが分からなかった。ネットで調べた感じでは、様は「さ」という方向を表すことばに「ま」という接尾語がついた言葉で、室町時代までさかのぼると主に書面で使われることが多かった。公方様御所様禁裏様御方様など。殿は屋敷を表す言葉で、おおむね官職に対してつかわれ「でん」と呼ばれることが多かったよう。いまも殿下があるね。室町殿様とか三條殿様とか重ねてつかわれることもあった。どちらかと云えば様が上となるらしい (文書でしか使われないから) が、そこは不明。でもなんで武士の時代まとめて殿様と呼ばせることになったんだろう。ともかく殿は武士に重用され殿の格が上がった感じ。明治もその影響で殿が強く、公的な文書はには殿がつかわれる。そしていま、官が殿をばらまきすぎて使い減りしたのか殿はどんどん格が下がって、しばらく前から様がまた上になってきたようだ。あるいは、殿は男っぽいから時代に合わなくなっているのかな。(以上:あずみ)

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Accidentally Like A Martyr / by Warren Zevon