9/24/2006 up   ホーム  インデックス

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高齢化社会。健康をテーマにした番組はますます増えているような気がする。かの視聴率男が司会を務める、昼下がりの番組(註1.は、今日も
「○○学会が発表した新情報です」
「トマトに隠された凄いパワーを発見されました」
などとやっている。
朝も夜のゴールデンタイムでも、あちらのテレビ局もこちらのテレビ局でも。そのうち「タバコに驚きの健康効果が!」なんてのも…それはないか(笑)
あまりにも健康にいいシリーズが続くため、やや食傷気味になることもある。「最新の研究成果でこんなスゴイパワーがあった!」なんて言っているけれど、かつてはあれだけ持ち上げられたリノール酸の末路(註2.を見るまでもなく、いつまた最新の研究で否定されるかもしれない —— などと勘ぐってしまう。
実際、塩分過多で目の敵にされていた味噌が、いまや「味噌の塩分は幾ら食べても大丈夫」(註3.などと持ち上げられている。発酵食品はおおむね健康にいいというのは実感だけど、でもあまりに礼賛しては、後でしっぺ返しがありそうで、どうにもケツが落ち着かない。

薬は毒にもなるし、毒は薬にもなる。医食同源の言葉通り、食材も同じだろう。数人という限られたサンプル数で、しかもたかだか1、2週間の摂取実験をし、「お肌がこんなにつるつるになった」と絶賛するのはどうかと思う。
いや効果はあるのを一概に否定する訳ではなく、ただ実証実験というのは、もっと緻密にやるべきもんだろうなあ(註5. —— とそう思うのですね。
だって、そのお肌がつるつるになるという食材。「1年食べたら、髪の毛も抜けて、頭のほうもつるつるになった」とまあそういうことだってあり得る訳だ。さらに「肌はスベスベになったが、肝機能は悪化した」なんてマイナス効果があるやもしれないしねえ。さらには、実験中はさすがにすごい効果が出たが、摂取をやめたら、逆に肌荒れがひどくなったなどというリバウンドはかなりあるような気がする。人間はそもそも飽きやすく、継続性のない生き物だ。健康にいい食品を、何種類もコンスタントに摂取するなんて、無理無理。逆にリバウンドで、かえって健康を損なっている人が多い気がする。(註4.
それにテレビが、食品の持つマイナスの研究成果を広めることはたぶんない。万が一、そんなマイナスの情報を流したら、それこそ生産者組合とかが黙っていないだろうしね。
とはいえ高齢化社会。医食同源という言葉は正しい。健康にいい食材への関心が低くなることはないだろう。
得意のせこい未来予測をすると近い将来、機能食品を組み合わせた「高血圧の人のための朝食セット」、さらには単身赴任用一週間セットメニューというのが市販されると思う。まあ病院食の家庭バージョンだね。いい悪いは別にして、ニーズはあると踏む。高血糖予防と高脂血予防セットを両方食べて太り、さらに症状を悪化させる間抜けな人間も必ず出てくるだろうなあ。

体にいい食生活とは結局、
「何でも食え! でも食い過ぎるな!」
「良く噛んで食え」
「規則的な食事をしろ」
「歯、磨け」
ということなんだと思う。

何のことはない、子どもころから言われ続けてきたことではないか。
「それができれば…」。自らの不摂生を思い、ため息がでる。
個人的には野菜と魚を多く食べるように心がけている程度か。あと是正しないといけないのが早食い。糖尿病だったオヤジの遺伝子を引き継いでいるらしく、血糖値が年齢とともに確実に上昇している。大食い、早食いしても血糖値が上がらない、夢の食材はないものか……いかん! 自らこの文章のどんでん返しをして、どうする(笑)
ということで、みなさんもいい食生活を!


(佐藤 紀生)



註1.:昼下がりの番組
・日本テレビみのもんたの「おもいッきりテレビ」っすね。朝はTBS「はなまるマーケット」夜はフジテレビ「発掘!あるある大事典」。このへんが御三家ですか。NHKは「ためしてガッテン」を忘れてはだめだし、テレビ朝日系「たけしの本当は怖い家庭の医学」つうのもあって、メジャーは完全に網羅してますねえ。あとは「生活ホットモーニング」「きょうの健康」などやっぱNHKは信用あるかもね。

註2.:リノール酸の末路
・かつてリノール酸はコレステロールを減らすということで注目を集め、リノール酸をとらないとダメみたいな風潮があったのだけど、その後コレステロールの総量を下げる、つまり人体に欠かすことのできないいわゆる善玉コレステロールまでも減らしてしまうのであまり良くないということになっているらしい。でもなんかよくわからないので、いろいろ検索してみたら、リノール酸は「ガンを防ぐ」「抗アレルギー」「活性酸素の害を抑える」「体脂肪を減らす」「美肌」なんてのもあったよ。あと、リノール酸はとりすぎると「心臓・脳血管系疾患」「アレルギーになる」「ガンを引き起こす」ってのもあったよ。いったいどうなってるんだか??? 日本脂質栄養学会のホームページでは会長が「リノール酸摂取量の削減および油脂食品の表示改善を進める提言」について▼なんて提言をしていて、日本人はやっぱりいまだリノール酸摂取過多の傾向がありそうね。

註3.:「味噌の塩分は幾ら食べても大丈夫」
・もちろんそれは極端な話で、そんなことはないのでご注意下さい。味噌には、含まれている塩分以上に有効な作用があるらしいということですね。抗ガン作用があり腸内を整え余計な塩分を排出するとか云われてるようですね。ホントかよ。また塩分の害も、塩化ナトリウムだけではなくて塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなど、微量元素を含んだ形で塩分をとるならば、つまりにがりを含んだ伝統的な塩ならかなり問題はなくなり、つまりはイオン交換膜法による塩を売っていた専売公社つうかいまは財団法人塩事業センターは塩を有害化して売ってたことになるのかも。これは蛇足だったか。ともかく、味噌には微量元素が豊富に含まれるのでいいということもあるのね。でも、伝統的な味噌がいいのでスーパーで激安で売ってる味噌に効果あるのかはちょっと謎が残ります。やっぱり蛇足。

註4.:かえって健康を損なっている人が多い気がする。
・ダイエットもそうだけど、どうもそう云うのが好きな人というのは極端に走る傾向があるのかも。なにごとも極端はだめということなんでしょうなー。(以上:あずみ)

註5.:実証実験というのは、もっと緻密にやるべきもんだろうなあ
・などとのりおくんがのんきなことをいってたら「発掘!あるある大事典2」で2007/1 にとりあげた納豆ダイエットが全くの捏造とわかり、大騒ぎに。その後「みそ汁で減量」「レタスは睡眠効果」「ワサビに脳活性化作用」「食べても太らないレモン果汁」など過去の捏造が次々発覚。あるあるには構造的にインチキなとこがあったらしい。みなさん、新奇な理論を鵜呑みにするのはいけませんぜ。(この項:あずみ1/30/07)

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