2/11/2007 up   ホーム  インデックス

pin 紀生はもこみちと読め




最近、読めない名前が増えた。特に小学生以下の名前はお手上げだ。映画になった人気漫画「デスノート」の主人公の名前は「月」と書いて「らいと」(漫画内ではライトとカタカナで表記されている)。まあ漫画やドラマはインパクトというか、「いかにも」という雰囲気の名前は演出の一つなので仕方がない。だってこの主人公が「鈴木権之助」では、もうその時点で、この作品自体の名前が「デスノート」▼に書き込まれ、あえなくこの傑作は死んでしまう(笑)
漫画やドラマの枠を超え、現実でも名簿にフリガナがないと読めない名前が並ぶ。これが本当に読めない。新聞の場合、書ければいいのだが、それでも取材の時、本人から名前を聞き取る際に、かなりの注意を要する。
不肖、私を例にすれば「20世紀、21世紀の『紀』と生まれる、生きるの『生』だぜ」とか「糸へんに己、生意気の生」などとすれば、まあ間違いなく伝わる。
ところが最近は、
「カノンちゃん? どう書くの? えっお伽噺の『伽』に、音楽の『音』それでカノンちゃんと読むんだ」なんて聞き返すことが日常茶飯事だ。
カノンちゃんは、まだ音読みを想像できなくはない(実は「伽羅(きゃら)」という言葉もあるので、キャノンちゃんとも読める。日本が誇る光学精密機器メーカーと同じ読みになる可能性もあるのだけど…笑)。でも中には、説明を受けても、あまりにも突飛な「当て字」のため、記者としては「本当にそう書くの?」と疑心暗鬼となることがある。しかも子供が口では説明できにくい難しい字も多い。学年と学級、姓名の読み方を聴いて、後で担任の先生に確認 —— なんてことも少なからずあった。

もちろん日本では名前の読み方は自由(註1.。「紀生」と書いて「もこみち」と役所に届けてもいいのだが、どうも最近程度問題という気がしている。私の娘の知り合いは、娘に「心優」と書いて「みひろ」と名付けたという。音感もいいし、親の愛情も伝わるいい名前だと思う(註2.。ただこれもフリガナがないと、読めないなあ。(註3.
名前に「心」を使うのが最新のブームみたいだ。中には「太っ腹な心を持った大人になってほしい」という願いを込めて「心太」と書いて「しんた」。(註4.または「みふと」と読ませよとする親がいるかもしれない。でも皆さんご存じのように「心太」は「ところてん」と読む。ところてんはうまいが、これはまずい。と、これは名前だけにくだらない与太話か(笑)。
名前には流行がある。太郎と花子もあった。男は「お」で、女は「子」で終わる名前が定番の時期は長かった。男を例にすると「翔」「輔」などが人気を集めた時期もる。同じクラスに「ゆうき」君が五人もいたりした。同音異義語の多い日本らしい。
難読名は今後ますます増えるのだろうか。ブームで終われば、後年、フリガナ世代と呼ばれるのかもしれない。


(佐藤 紀生)



註1.:日本では名前の読み方は自由
・自由というよりも規定がないんですね。どう読むのかということは法律で定められていないし、公文書でもふりがななどは一切ないだけ。役所では、紀生は受け取るがふりがなのもこみちはうけとらない(笑)。なので、自由にどうつけてもいいというのはたぶん拡大解釈になるので、本来は漢字なら原典があるべきなんだろうけどねー、そういうのを規定するのは難しいもんねー。昔なら近所の偉い人に聞けばよかったんだろうが。

註2.:親の愛情も伝わるいい名前だと思う
・親の愛情があんまり伝わってこない、文字通り変な名前を蒐集しているサイトが「子供の名付け(命名)DQN度ランキング」▼。 DQNはドキュンあるいはドキュソと読んで、おもに2ちゃんねる方面で使われる間抜けおバカに対する差別用語。常識に欠けている場合に使われることが多いけど、まあ罵詈雑言のたぐい。このサイト2007/2/10現在の DQN度トップには、亜菜瑠(あなる)、煮物(にもの)、世歩玲(せふれ)、詩音(しね)、速さ(はやさ)、飛哉亜李(ひゃあい)、爆走蛇亜(ばくそうじゃあ)、幻の銀侍(まぼろしのぎんじ)、芽凸(がこ)、和気我(わきが)、振門体(ふるもんてぃ)、射夢(じゃむ)、苺苺苺(まりなる)、星痢(きらり)、咲穂みす(さほみす)、珠ん雅(たまんが)、麗音菜愛梨亜(れおなあめりあ)、など本当にとんでもない名前が並ぶ。ただし、不特定多数のタレコミが元なので、嘘というかネタがかなり紛れ込んでいる可能性はあり、ホントのホントに実在するかどうかは不明。にしても冗談にもほどがあると思います。

註3.:フリガナがないと、読めないなあ。
・われわれの共通の友人にも一人、フリガナがないと読めないというか読み間違うヤツいるよなあ。

註4.:「心太」と書いて「しんた」
・上記サイトによれば、確かに実在するようですね「心太」くん▼。ちなみに「ここと」「ここた」という名前の子もいるそうな。(以上:あずみ)

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