2/25/2007 up   ホーム  インデックス

pin 個人情報の軽重




昨年暮れ、仙台市内の病院で健診を受けた。前の年までは普通に姓名を呼ばれていたが、恰幅のいい看護師さんいわく「生年月日と名字の組み合わせに変えた」という。私の場合「316のサトウさん」となった。病院は「個人情報保護のため、患者をフルネームで呼ぶのをやめた」との説明。健診者も右にならった訳だ。都市部の病院で、増えている呼称だという。
なんか、囚人番号みたいで嫌だな?というのが第一印象。でも、まあ時代か。ふーむ。「確かに姓名は個人情報だ。呼ばれるのを嫌がる患者もいるだろう」
しかし何か釈然としない。甘口のバリウムを飲みながら、その違和感の正体に気付いた。「生年月日の方がよほど重要な個人情報ではないのか」。病院は高齢化率が高い。お年寄りの中には不用心にも、生年月日を銀行などの現金自動預払機(ATM)カードの暗証番号にしていたりする。
呼ばれる「サトウノリオ」は音声情報のみだ。「紀生、宣夫、則夫、憲雄、典男、藻古道…」。ファーストネームのさまざまな書き方までは限定できない。はてさて。カタカナの姓名と生年月日。重要なのはどっち?(註1.
じゃあどうすればいい。愛称はどうか。昨夏、甲子園を沸かせた早実の斎藤投手の「ユウちゃん」みたいに。または好きな呼称を申請する。「気仙沼のハンカチ王子」「松岩の闘犬」とかとか……冗談が過ぎた。妙案はないものか。たかが呼称。しかし医療事故にもつながる可能性もあるだけに、悩ましい問題ではあるなあ。


(佐藤 紀生)



註1.:重要なのはどっち?
・本人を特定するとき生年月日を聞いたりするし、どう考えても、生年月日のほうが重要だと思う。病院の個人情報の扱いなんてのは、いままで何にも考えていなかったのだろうから、これからみんなで考えましょうということなのだろうな。屋号を復活させるなんてどう。篭屋ののりおさん。(以上:あずみ)

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