11/22/2021 up   ホーム  インデックス

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一昔前のテレビCM。車がスーパーの中を恐る恐る進んで行く。運転手が頼りにしているのはカーナビ。地図データが更新されないと、彼のようになりますよ-とユーモラスに表現していた。
愛車のカーナビ。東日本大震災のくしくも1年前、2010年当時の地図のままだ。被災地は震災前の地図を基本に据え置いているので、多くの人が同様かもしれない。開通したばかりの三陸自動車道登米志津川道路を走ると、車は道なき山中を踏破。津波が襲った南気仙沼地区では書店に突っ込み、公園を堂々と横切り、民家に次々と車ごと上がり込む。
ただ時折、感慨に浸るときがある。「この交差点に志津川署があった」「ここはJR南気仙沼駅前広場」「階上の知人宅はここだった」…。切なく、悲しくもあるが、震災前の場所を図らずも古いカーナビが忠実に表示する。一気に全ての街区がなくなった場所も多い。鹿折かもめ通り、なじみのラーメン店、友人の家などなど。失われた古地図が今の居場所と重なる。
復興は果たすしかないが、古里がこれほど一変した経験は私にはない。いつか新しいカーナビを搭載した車を買うかもしれない。その際は車から取り外し、手元に残そうと思う。そしてたまに失われた街をうろつこう。


(佐藤 紀生)



註1.:「ここはJR南気仙沼駅前広場」
・目をつむると、いまだにあの界隈の様子を思い出すことはできる。でも、年々その思い出は薄くなるし、今の光景と重ね合わせることはもう出来ない。カーナビもそうだけど、Google ストリートビューで古い道などを公開しないかな。震災前のストリートビューはホントの幹線だけのだったかな。 (以上:あずみ)


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