pinトップバリュ靴の運命
(佐藤家の日常から34)
yoko
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きょねんの春

あきちゃん@すっとこどっこいが間違って履いて登校したため、盗難疑惑の渦中に引きずり込まれ、とんでもない目に遭ったガイの高級靴を覚えているだろうか(下駄箱のトップバリュ参照)。
その靴は今、佐藤家にはない。どこに行ったかも分からない。ただ分かっているのは、きょねんの秋、うを座の国民文化祭での公演を見るためガイが泊まった群馬県新田町のホテル内で、どこぞのだれかが履いていったということだ。
国民文化祭には、それこそ全国から多くの人が集まった。紛失したのは宿泊したホテル内の居酒屋だという。しかしどこの都道府県の団体が、ガイたちと時を同じくして宴会を開いていたかを特定するのは難しい。気が付いた時には、トップバリュ靴の代わりに微妙に色、形が違う靴が一足余っていたという#(1)
サイズは24.5センチと同じなので、酔っぱらっただれかが間違えて履いていったのだろう。その後の捜索もむなしく、トップバリュの行方は杳として知れなかった(あきが再び間違って履いていたら大笑いなのだが、そこまでおバカではなかったようだ)。
それにしても数奇な運命をたどった靴ではある。ガイのたくましい足に鍛えられ、その娘のお陰で盗難騒ぎに巻き込まれ、なかんずく安物扱いされ、その数カ月後には、再び間違われて行方不明。まさに踏んだり蹴ったりである。靴だから踏まれるのは宿命かもしれないが、それにしても不憫ではある。
願わくば、どこかの空の下で新しいご主人さまに可愛がられていることを、遠く気仙沼から祈らずにはいられない。
ここで一句。
「さだめかな 隔靴掻痒 旅の空」#(2)
えっ?その残っていた靴はどうなったかって?もちろん毎日、ガイが履きつぶしている。こっちの方も災難かもしれない。

( のりお )

yoko
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あずみによる脚註
そうだねえ、ガイ母さんのようにアバウトな人に、間違ったことにも気づかれないまま履きつぶされるといいね。
1.) 微妙に色、形が違う靴が一足余っていた:
履きつぶされて捨てられる前に、是非写真で押さえておきたいもんですね。のりおくんたのみます。
2.) さだめかな 隔靴掻痒 旅の空:
なんだか意味不明でもどかしい句だねえ。




残されたのが、スリッパじゃなくてよかったね。