pin緊褌の漢字検定パート2
(佐藤家の日常から42)
yoko
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あきの漢字検定はどうだったというと‥‥

ほとんどの人が4級あたりから挑戦する漢字検定をいきなり2級から受験した、あき。(負けず嫌いの漢字検定参照)
結論からいうと見事に玉砕であった。200点満点中146点。合格は150点以上なので、わずか4点で涙を飲んだ。
まあ2級というと高卒程度なので、大健闘ではある。受験の当日、手堅く3級に挑む級友、先輩、さらには2級合格を悲願とする挑戦3回目の先輩に交じり、堂々というか、臆面もないというか、闘志をみなぎらせて試験に臨んだ。
あき曰く「なんか。先輩の視線が『無謀!』と言っているようで怖かった」

そうだろう、そうだろう。無謀なのは母親譲りである。恨むなら「無理が通れば、道理ひっこむ」#1.「無理だと思ったことでもやり通せば、道理は三歩下がってついてくる」と解釈している母親を恨みなさい。
146点も取ったことは、ひとえに才気煥発#2.、刻苦勉励#3.、謹厳実直#4.な父親を持ったがゆえの当然至極#5.の結果であろう。
これに対して4点足りなかったのは一知半解#6.、馬耳東風#7.、厚顔無恥#8.な母親の因果応報#9.である。
成績表が手元にある。2級の検定は「読み」「部首」「熟語の構成」「四文字熟語・書き取り」「同・意味」「対義語・類似語」「同音・同訓異字」「誤字訂正」「送りがな」「書き取り」の10項目からなる。
「送りがな」と「四文字熟語・書き取り」「同・意味」はいずれも10点満点。素晴らしい!「読み」と「漢字訂正」も1問間違いで全受験生はもとより、合格者平均をも大きく上回っていて、実にナイスである。
点数が悪かったのは「部首」で10問中4問しかできていない。だめじゃん!「対義語・類似語」も半分の5問のみ正解。イケてないなあ。
一番配点の高い「書き取り」は25問中、正解19問で、合格者平均とほぼ同じ。
こうして見ると、やはり「部首」とか「対義語・類似語」のできの悪さが足を引っ張ったといえる。まあ「部首」なんてのは、人名の読み合わせをするときに菅野と管野と神野と館野を区別するために「くさかんむりの菅野」なんてことをしている新聞記者とか、文字によって生計を立てている人以外には、まあ知らなくてもいいといい分野だろう。「にんべん」とか「ごんべん」ぐらい知っていれば御の字だ。「かなえ」だの「なめしがわ」#10.なんぞは「知らん!」という態度でいい。
つまりはクイズと同じで、漢字検定のお約束をよく調べもせずに挑戦したことが敗因だったと博覧強記#11.で沈着冷静#12.な父親は沈思黙考#13.し、分析した。
お約束といえば、必ずあると思っていた「筆順」「画数」はないのね。1級になるとあるのかしら#14.。調べものが得意な人間がいるので職務分担、二人三脚、他力本願#15.で刎頸之朋#16.に任せよう。「筆順」なんてあったら、いかに汗牛充棟#17.、用意周到#18.な父でも合格は難しかっただろう。はっきりいって目茶苦茶#19.で支離滅裂#20.である。左利きには筆順なんて必要ないのだ!と強引我道#21.なのだ。
ということを、あきに実に適切にアドバイスした。あきはリベンジに備え、勉強に精を出している。あっぱれ、かっぽれ。

「あと4点ぐらい、何とかなるって」
「うん。頑張る。ちょー惜しかったんだから。読みで勘違いして、書き取りでケアレスミスしちゃったの。それさえなければ一発合格だったのに」
「何を間違ったんだ?」
「築山#22.をチクザンって読んじゃった」
「カイバラユウザン#23.でもあるまいし‥‥。音読みはまずいなあ」
「それとね。盆栽をね凡栽と書いちゃったの。私ってば、バカ」
「‥‥」

さあて。この娘は凡才でしょうか?天才莫迦梵#24.でしょうか?捲土重来#25.で2級合格に向け、張り切る娘にガイ、一言どうぞ。
「緊褌一番」#26.(てな漢字をガイが知る訳がないけど)

( のりお )

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あずみによる脚註
のりおくんのりおくん、書いてて楽しかったろうねー。おれは読んでて、これに脚註をつけるのかと思うと、すんごくイヤになったよ。ということで、こんかいも風雲怒濤の徹底脚註。
1.) 「無理が通れば、道理ひっこむ」:
道理にはずれたことが世の中に行われれば、正しいことがなされなくなる。しかし、ガイにとっては無理=道理なのね。
2.) 才気煥発:
さいきかんぱつ:すぐれた才能が、外にあらわれ出ること。うそつけ。
3.) 刻苦勉励:
こっくべんれい:非常に苦労して、仕事・勉学などにはげむこと。女のケツを追い回したため浪人したくせに。
4.) 謹厳実直:
きんげんじっちょく:きわめてまじめで正直なこと。こういう文章を書くこと自体が矛盾だな。
5.) 当然至極:
とうぜんしごく:道理の上からあたりまえで、きわめてもっともなこと。この筆の軽さもDNAに乗ってるのかしら。
6.) 一知半解:
いっちはんかい:生かじりで十分に理解できていないこと。ほんと、こっちはちゃんと教えて本人も分かったつもりなのに、結局全然理解していないなんてことがよくあるもんなあ、のりおくんは。
7.) 馬耳東風:
ばじとうふう:他人の意見や批評に注意を払わず聞き流すこと。そうそう、小心なクセして頑固だから、人の意見なんかはなっから無視するし。
8.) 厚顔無恥:
こうがんむち:あつかましく恥知らずなこと。でもって、変に恥知らずを気取ったりして、あとで後悔したりするんだよな。
9.) 因果応報:
いんがおうほう:前世における行為の結果として現在における幸不幸があり、現世における行為の結果として来世における幸不幸が生じること。この文例の場合、母親の前世が娘に因果をもたらすということになり、一般的には間違いかもしれん。先生!採点は如何にしませう。(ここまで大辞林<三省堂>を参照しました)
10.) 「かなえ」だの「なめしがわ」:
かなえ(鼎)を使った文字は検索しても出てきません(JIS第二水準)、なめしがわ(韋)をつかった文字は、葦偉緯諱韓など。(ジャストシステム/ATOK13/文字パレット)
11.) 博覧強記:
はくらんきょうき:広く書物を読みよく覚えていること。美味しんぼとゴルゴ13はよく覚えているよね。あとビートルズの雑学ネタも、驚くくらい知ってるよねえ。(大辞林)
12.) 沈着冷静:
ちんちゃく:落ち着いていて大事にも動じないこと。れいせい:落ち着いていて、その場の感情に動かされないこと。これって、四文字熟語としては新参なのかな。大辞林にも岩波国語辞典第五版にものってない。ともかく、なにかあるとすぐにパニックになるのりおくんには、一番必要な言葉かもね。(岩波国語辞典第五版)
13.) 沈思黙考:
ちんしもっこう:沈黙して深く物事を考えること。3分靜かにしてるとソワソワするのが、のりおくんだ。(大辞林)
14.) 1級になるとあるのかしら:
一級は逆にそういうのは少なくて、ほとんど力勝負というか書き取りが中心みたい。しかも、信じられないくらい難しい。こんなの合格する人がいるのか。っつうか合格する意味があるのか??ともかく、1999年第三回漢字検定1級の問題は

1) 読み, 2) 書き(漢字), 3) 書き(国字), 4) 旧字對の書き, 5) 当て字(国名・地名)の読み, 6) 同音異義の書き, 7) 故事成語の書き, 8) 四文字熟語の書き, 9) 文章から読み書き,
こんな感じ。2級にしたって、かなり難しいよねえ。おれは45点くらいかな。詳しくは、漢検ホームページでどうぞ。
15.) 他力本願:
たりきほんがん:他人の力に頼って事をなすこと。他人まかせにすること。そんなことでは、あきちゃんの教育に良くないぞ。
16.) 刎頸之朋:
ふんけいのとも:首を斬られても悔いないほどのかたい友情で結ばれた交際。ふつうは刎頸の友。無理して四文字熟語にするなよな。でも、首を切られたら絶対悔いるぞ。
17.) 汗牛充棟:
かんぎゅうじゅうとう:牛が汗をかくほどの重さ、棟までとどくほどの量。蔵書が多いこと。たしかにのりおくんのレコードとCDは凄いけど、知性には関係ないもんね。
18.) 用意周到:
よういしゅうとう:用意が十分にととのっていること。手ぬかりなく用意すること。そうそう、きっちり用意したつもりでも必ず穴があって、本番であわてるんだよね。
19.) 目茶苦茶:
めちゃくちゃ(滅茶苦茶):まるで道理に合わないさま。筋道の通らないさま。程度のはなはだしいさま。非常に混乱したさま。まるで、佐藤家の日常だねえ。
20.) 支離滅裂:
しりめつれつ:ばらばらで、まとまりがなく、筋道が立っていないさま。ガイがバイキングでかきあつめてきた一皿の料理のことかな。(15からここまで大辞林)
21.) 強引我道:
ごういんがどう:そんなのあるのか?つうか、もしかしてゴーイング・マイウエイのことか。ううう、北風が吹いてきたぞ‥‥。
22.) 築山:
つきやま:庭園などに山をかたどり、土砂または岩石で小高くきずいたところ。どっかにチクザンって地名とかあるかもしれんぞ。(大辞林)
23.) カイバラユウザン:
海原雄山。のりおくんの大の愛読書「美味しんぼ」(雁屋哲原作花咲アキラ画/小学館発行ビッグコミックスピリッツ連載)のキャラクター。大芸術家で大美食家で、はなもちならない傲慢な大人物。
24.) 天才莫迦梵:
「天才バカボン」。赤塚不二夫のギャグマンガ。バカボンのパパがナンセンスにシュールに暴れまくる稀代の名作。つながり目のおまわりさん、レレレのおじさん、ウナギイヌなど、サブキャラクターも素晴らしい。
25.) 捲土重来:
けんどじゅうらい(ちょうらい):一度敗れたものが、再び勢力をもりかえして攻めてくること。一度失敗したものが非常な意気ごみでやり直すこと。あきちゃん、こんどは受かるよ。だいじょうぶ。(大辞林)
26.) 緊褌一番:
きんこんいちばん:赤ふんを締め直してファイトーーーーイッパアーーーーッツ。




日本で、漢字検定なんてのがクイズみたいになるのは、
漢字をむりやり日本語のなかに組み込んだことによる、
いわば捻れ現象から出ていると思うけどね。どうかな。