|  かつお節の呪い  (佐藤家の日常から4)  < 2/16/99 up >   ●  ある朝お父さんは布団の中 
朝、あきの絶叫で目が覚めた。 
ドタバタ、あきが走る音。怒っている。 
ガイがその後を追いかける。何か謝っているらしい。 
ああ。いつもの朝だ。 
この程度で一々起きては、佐藤家では生きていけない。たっぷり1時間熟睡した後、朝飯を食いながら、その顛末を聞く。 
何の変哲もない、いつもの朝だ。 ●  さっきの騒ぎ 
この日、いつものようにガイがあきとユータを起こした。 
ちょっとやそっとでは起きない2人。 
ふとんをはぎ、カーテンを力任せにガーッと開けるガイ。 
そのとき。ユータの机の上に置いてあった鉛筆削り機がカーテンに引っかかり、次の瞬間、溜まりに溜まった削りカスをぶちまけながら落下。削り機本体は運良く、あきの頭をかすめたが、削りカスがドサッとあきの頭に降り積もった。 
鰹節をたっぷり振りかけた、おかかおにぎり頭のあき。 
ああ、見たかった。 
しかし、ちょっとやそっとでは自分の非を認めないガイは、鉛筆削り機が机の端っこの方に不安定な状態で乗っていたことが原因と主張。あきの怒りはユータに向き、ユータはあきの剣幕に恐れをなし「ごめんなさい」とベソをかいた。#(1) 
が、わたしを除く3人で朝飯を食べて(あきはどんなことがあっても食欲をなくさない)いた時、おずおずとユータが 
「ゆーたね、昨日は鉛筆削りしなかったよ」とぼそり。 
むっとして口からマシンガンのように文句を言いかけたあきが、ふっと黙り込んだのをガイが見逃すわけはない。 
「あれえ、じゃあだれ」 「・・・」 「あきじゃないの」 「・・・」 「やっぱりあきだ」 「落としたのはお母さんでしょ」 「ほら、やっぱりあきだ」#(2) 「もう少しで頭にぶつかるところだったんだよ。けがしたらどうすんの」 「ユータを泣かせて」 「だいたい、カーテンなんて静かに開けるもんでしょ。ガーッと開けるから、こうなるんだよ。力の加減できないの」 「静かに開けてもあんなところにあったら落ちます」 「落ちません」 「落ちます」 
ガイが続けて 
「うそつき」
 
あきも負けずに 
「うそつき」#(3)
 
とまあ、いつもの不毛バトル#(4)が20分は続いたらしい。 
まあ、おれとしては「おかかあき」を見たかったなあ。 ( のりお )   ▲あずみによる脚註 利発な娘にギャフンと言わされっぱなしのお母さん(ガイ)が、娘の失策を咎めて久々に大反撃です。 とりあえず一言二言脚註を。 
1.) ベソをかいた: お姉ちゃんに完全に頭を押さえられているユータ。最近はこういう兄弟が多いのかもしれんが、どこかで一発ガツンといかないと拙いぞユータ。缶コーヒーでもプレゼントしようか。 
2.) 「ほら、やっぱりあきだ」: 攻撃に回ると、ねばり強くしつこいガイの特徴がよく出ている。娘をやりこめてご機嫌だったかな。 ついでと云ってはなんですが、マシンガンのようにしゃべるご機嫌なガイの肖像です。   
3.) 「うそつき」: ともかく負けず嫌いのお姉ちゃんは、不利と見て泥仕合(場外乱闘)に持ち込んだ模様。この後どんな展開だったのかは不明。 
4.) いつもの不毛バトル: かつてこの母娘間で、お肌をめぐる不毛の大バトルがあった。詳細(と、その当時のいろんなおバカな出来事)は、こちら→→→ (佐藤家の日常特別編) |