pinあまりにもギャラクティカ・マグナム
(佐藤家の日常から29)
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前回は

母親の靴を履いて登校し、あきが大恥をかいたことを書いちゃったが、あき曰く
「靴を盗まれたら、買ってくれたお母さんに申し訳ないと思って、おろおろ、びくびくしながら(お母さんに)電話したの!。それなのにお父さんの文章では、私が開き直っているみたいじゃない!。かわいいあきちゃんのイメージが台無しなの!。いっつもプンプン怒っているみたいじゃないの。真実を書いてよね!」と、『!』マーク連発で、プンプンと怒られてしまった(笑)。新聞記者にとって「真実を書いてよ」というのは殺し文句である。高校生になっても相も変わらず母親と仁義なきバトルを続けているだけあって、さすがに攻撃が急所をとらえている。実に素晴らしい。
そして、かつて母親に向け「小学生からやりなおしたら」#(1)と、ギャラクティカ・マグナム#(2)を放ったあきだが、ついこないだ、それより強力な「スーパー・ギャラクティカ・マグナム」をガイの顔面に炸裂させた。

この間の日曜日のこと‥‥

ガイが買い物から帰って来て車から下りた頃合い、「ダダダダッ」と2階の自室から階段を駆け下りて来るあき。
茶の間で3時のおやつを楽しんでいた私とばあちゃんも「何ごとか」と、目を丸くしていた。玄関を開けるガイ。間髪容れず「シャープペンの芯買ってきた?」と聞くあき。「あっ」と言ったまま絶句するガイ。すると仁王立ちしたあきの口が火を噴いた。
「何で。何でなの?一週間前から『買ってきて』って頼んでいるんだよ。毎日、毎日忘れて‥‥今日はメモまで持っていったのに。信じられない!」
と、約一分間シャープな連打がガイの顔面をとらえ続けた。いつもなら
「あんたも、いつも忘れるでしょ」などとボディーブローを返すことを忘れないガイなのだが、今日だけは一週間忘れ続けた負い目があるためかロープに追いつめられ、防戦一方。ついに剣幕に負けて、嫌々ながら
「分かったってば。今から買ってくるから」と、玄関からきびすを返した。
ここでついに、あきの新兵器「スーパー・ギャラクティカ・マグナム」が放たれた。
「お母さん、絶対忘れないでよ。メモじゃなくて『シャープペンの芯』って、顔に書いて行ったら」

ひえー。これはあごにクリティカル・ヒット!たぶんこの時、ガイは深遠なる宇宙を見たに違いない。「顔に書いてある」という表現を、独自にアレンジ#(3)し、それを相手を叩きのめす必殺技としたあき。恐るべし!
しかし‥‥。確かに「シャープペンの芯」と顔に書いて行けば、ガイは忘れていても店員は「顔に書いてある」からすぐに分かる。うーん。究極の忘れ物防止策かもしれない。かわいい女の子のいるスナックで「君とHしたい」なんて顔に書いて飲んでみよっかな。うそ!

( のりお )

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あずみによる脚註
その反射神経のよさはお母さん譲り、性急さはお父さん譲りでやっぱりここもDNAだな。
1.) 「小学生からやりなおしたら」:
まえの強力な一撃は「小学生からやり直しても同じか?」でどうぞ。
2.) ギャラクティカ・マグナム:
車田正美の出世作「リングにかけろ」の主人公高嶺竜児が使う必殺パンチ。ま、単なるストーレートなんだが、「ギャラクティカ・マグナム!!」という叫びの後ろに銀河の絵なんかが配置されると、そのパンチを受けた方はなぜだか消し飛んでしまうのである。山田風太郎の忍法物を彷彿とさせる恐ろしいまでにぶっ飛んだマンガで、その影響力も大きかった。
3.) 独自にアレンジ:
そういえばガイは、「一年早いよ」って、云うことわざを作ったことがあったな。




車田正美の登場人物とガイって、なんとなく繋がるところがありそな感じ