pin義務教育を突破せよ!
(佐藤家の日常から94)
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夕飯を食いながら


テレビのクイズ番組をガイと2人でよく見る。教科書クイズ#1.というのだろうか。小学生低学年から高学年、中学生は1. 2. 3年という具合に出されていく。
ガイは、いつも中学1. 2年でアウト。時には小学6年の問題で頓挫し、小学校さえ卒業できないこともある。いずれにしても、義務教育を終了し、高校に進学することがなかなかできない。
リトマス試験紙で「酸性の溶液に浸すと、青色の試験紙は何色に変わるか」という問題には、熟慮の上に熟慮を重ね、「あっ! 分かった」とキリッとした顔で「黄色! 」と雄叫びを上げた。
義務教育をつつがなく終えた皆さんは、当然お分かりだと思うが、答えは「赤」。

青が赤になるのが酸性かアルカリ性かで悩むならともかく、「黄色」とは……。ん? 「青が黄色」に変わり「黄色が赤」になるって、「信号機じゃん! 」
何か本当に青色のリトマス試験紙にレモン汁をかけると、一瞬黄色になってから赤になるような気がしてきたのだった(うそ)。

それからしばらく後、ちょいと遅めに帰宅したら、ガイは「やっと中学卒業できた! 今日初めて全問正解した! 」と満面の笑み。
「でもおれ、全問回答するところ見てないからなあ」
と、大人らしい慎重な姿勢で応対した。
「えっ? 信じないの」
「じゃなくて、誰も証明する人いないというだけで…」
「だから解けたんだってば! 」
「じゃあ、今度、おれと一緒に見ている時にもう一度」
「ええ! せっかく卒業したのに、もう一度? 」#2.
と、いたくご不満の様子のガイをなだめ、もう一度おれの目の前で挑戦することに。

そして3月12日、ついにその日がきた!! (おおげさ)

第一問。小学校低学年の問題は1年生の生活#3.。各年代の正解率も軒並み7割以上という紹介があった。
「これは何虫?」
テレビの画面には絵が出ている。
絵は木の枝にぶら下がる茶色い物。小枝を縦に集めたラグビーボール状のガサガサした感じ。文章では分かりづらいかもしれないが、義務教育を終えている皆さんは、想像力を働かせて答えを導きだしていると思う。

ところがガイは沈黙したまま。

「えっ? 」
「あれ〜? 何だっけこれ? 」
「ええっ! おい小学1年の問題だぞ」
「だから、えーと。こんなの習った? 」
「うそっ! 」
「う〜ん。気仙沼にいる? 」
「解答時間もうないぞ。だからほら、『○○もんた』とかさあ……」

と、ヒントを出すと、いつもは「あっ、答え今分かったのに! ヒントなくても分かったからね! 」と怒られるのだが、この時は全く無反応。そしてついに……。

「正解はみの虫です」
とアナウンサー。

「ああああっ! みの虫かあ! 」
「中学卒業も何も、小学校にも入学できないじゃん! 」
「ああ、何で分からなかったんだろう? 」
「幼稚園じゃん! 」
「えっ? 」
「小学1年の問題アウトだから、幼稚園児じゃん! 」
「やだ」
とショックのあまり、幼児化するガイ。
「えーと、もも組ですか? チューリップ組ですか? 」
ここぞと突っ込む私。
「はあ…」
呆然となり反撃もできないガイ。
「じゃあ明日、せっちゃんの幼稚園バス#4.がお迎えに来るからね。幼稚園からやり直そうね」
と図に乗る私。

そういえば昔、ガイはあきに「小学生からやり直せ」という暴言#5.を吐かれたことがある。
今回、夫からさらに心ない「幼稚園からやり直せ」の罵言を浴びたガイ。
いつ中学を卒業できるのだろうか? その証明への道のりは遠い (うはは! )


( のりお )

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あずみによる脚註
いつもは堂々と間違うのに、こんかいは珍しく沈黙なのねー。しかも突っ込まれても反撃しないなんて、どうしたガイ!! 徹底逆襲を期待するぞー

1.) 教科書クイズ:
このクイズ番組は、テレビ朝日系「くりぃむクイズ ミラクル9」だと思う。終了した日本テレビ系の特番クイズ番組「おとなの学力検定スペシャル小学校教科書クイズ」の系譜ですね、たぶん。
2.) せっかく卒業したのに、もう一度? :
「せっかく卒業したのに、もう一度、兄貴が勤めていた自動車学校に通う羽目になったのは、どこのどなたでしたっけ?」と、のりおくん。ガイ母さんは一度、うっかり免許を失効したことがあるのです。その他にも「どこまでもB型」「急ブレーキで止めよ !」なんてのもあるし、やっぱり忘れっぽいゆーたのために徹底したアンチ忘れ物作戦「ガイおかあさんの貼り紙大作戦」も面白い。あと、「ちょろまかしの誤算」は、ガイお母さんの大失敗なんだけど、のりおくんが追い込まれてしまい面白い。
3.) 1年生の生活:
みなさん知ってました? いま小学校1.2.年では、「理科」と「社会」をやめて「生活」という科目があるんですよ。無茶だよねえ。
4.) せっちゃんの幼稚園バス:
せっちゃんは、ガイの同級生で体力面での永遠のライバル。幼稚園経営をしており、あきとゆーたも通った。(この項のりお)
5.) 「小学生からやり直せ」という暴言:
それについては、「小学生からやり直しても同じか?」をご覧下さい。このときは、ガイお母さんの徹底した封鎖作戦に、あきちゃんは兵糧が尽きて負けを認めたんだよねー。のりおくん図に乗ってると、そのうちきっと痛い目をみるよ。




それにしても佐藤家は、なんでこんなにクイズが好きなの??